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料理王オルレアン1巻
料理王オルレアン1巻 NPC売値 OC0 4,000 zeny NPC売値 OC10 4,960 zeny
月刊ラグに絶賛連載中の
泥簿竜の傑作。
料理の天才!
オルレアンの挑戦!
―――――――――――――

重量 : 0


料理王オルレアン

○月 ○日 プロンテラ宮廷料理人 試験日


シャルル・オルレアン。17才。男。
彼はプロンテラ宮廷料理人試験を受ける為に、遠いフェイヨンの田舎から上京してきた。

“ヤッベー! やっぱ首都はすごいね! ピピ、行こう!!”

首都に来て、すごいと素直に感心する少年。ピピと名付けられた大きい犬……。
このステレオタイプの少年が、物語の主人公である。

あれ、これはこれは! オルレアンじゃないか?”
“アンドレさん!!”

初めて首都に出た主人公が、偶然、道端で知り合いに出会う確率は……?
0%に限りなく近いのではないか? それでも、会ってしまうのが、主人公だ!

しかも、昔の仲間、知り合い、あらゆる人が主人公の行く先々には配置されているのだ。
皆、それらしい名前を持っているのは当ったり前!
残念ながら、このアンドレさんは、1回限りのエキストラ。

“プロンテラには何しに来たんだい?
もしかして、あの宮廷料理人試験を受けに来たのか?
そうだよなー、お前は料理が得意だったしな……”

質問から結論まで自己完結してしまうエキストラさん。
そう、エキストラは登場時間が短いので、最大限の台詞を言う為には、
自己完結型のキャラじゃないといけないのだ!

“うん!! 僕、絶対に宮廷料理人になって見せますから!!”

少年は自分の顔の 1/2にもおよぶ瞳の中に、無数の光を発しながら返事をする。
すると、なんの関わりもない周りの人々が、少年を眺め感心する。

“おー、すごい自信だな。”
“あら、まあ~健気な事!”
“なれるだろう! 頑張って!”
“わいわい~”
“がやがや~”

その瞬間! どこからか、耳に障る、気持ちの悪い声が聞こえてくる!
そう、こういう時に決まって登場するのは、主人公のライバル! もしくは、悪者なのだ!

“君には宮廷料理人試験の合格は無理だろう。”

声は聞こえるけど、声の持ち主はすぐには現れない。
周辺のエキストラの人々が、少年漫画の法則通り、ザワザワし始める。
すると、「ジャーン!」と、耳には聞こえないけど、
目に見える効果音と共に、主人公より1.5倍は背が高くて、いい体で、
しかも甘いマスクの完璧な少年が登場する。

ここで、少年漫画の法則について、説明しよう。
同一条件で登場する人の、年と性別による見分け方だ!

少年の場合 - 昔は友達だったが、今はライバル
中年の男の場合 - 主人公のお父さんの親友だったが、今は悪者/ライバル
人間じゃない場合 - ひたすら悪者
同じ年頃の女性の場合 - 主人公のライバルだったが、時間と共に主人公が好きになる
年上の女性の場合 - 主人公のライバルだったが、時間と共に主人公が好きになる
年下の女性の場合 - 主人公のライバルだったが、時間と共に主人公を好きになる
年上/年下/年頃の女性だけど、ブサイクな場合 - 終わるまでずっと、ライバルのまま

今登場したのは、17才の少年、つまり……ライバルだ!
オルレアンは台本通り叫んだ!

“君は!! キエル!!!!”

ただ、名前を呼んだだけなのに、周りのエキストラは全員、驚く。

“まさか、最年少宮廷料理人になったという、天才少年?”
“国王がメロメロになったという、神の手を持つ少年?”
“料理の神様と呼ばれる男が、あんな年若い少年だったとは!!!!”

急に、キエルの後ろに燃え上がる炎の特殊効果が広がる。
そして、不吉な音楽が BGM として流れる。

“ふふふ…… 10年ぶりだな。オルレアン。
君は、10年前と何も変わってないな……”
キエル!!!!”

10年前と比べ何も変わってないと言うキエル
これは、成長期の少年が読む少年漫画の中では、一番酷い侮辱に当たる。
オルレアンは当然、怒る。

“お前っ!! 汚い手を使って、宮廷料理人になったくせに!! 恥を知れ!!”

“ほう? 汚い手?”

キエルは正々堂々と試験に合格し、宮廷料理人になった。
しかし、主人公は侮辱されると、根拠のない事でも相手を攻めなければいけない。
その法則に従い、デタラメを言うオルレアン。
少年漫画の主人公は、色々と汚いものなのだ。

“俺としては、正々堂々と出した結果だと思うんだが。”

“何だとーっ!”

“納得が出来ない様だね。
なら、料理で勝負しろ、オルレアン! 三日後だ! 三日後を待ってるぞ!
君がどんな料理を作るか楽しみにしている! ふふふっ……”

子供の様な主人公とは違って、大人っぽいキエル
キエルの正論に対し、不思議な事にエキストラの皆や主人公は敵意を感じている様だ。
オルレアンと彼の犬ピピは、怒りに満ちている。



急に背景が変わり、ここはキエルの部屋。

未成年のくせに、ワイングラスを片手に持って、優雅に窓の外を眺めながら呟くキエル
大丈夫、少年漫画の中では、全部が許容範囲内だ。

“オルレアン、待っていたぞ。今まで俺に挑戦した奴らは……クズだった。
俺と勝負が出来る奴は、お前だけだ! さあ、お前の料理をみせてくれ!!”

小学校を卒業してすぐ、宮廷料理人になったキエル
今までの挑戦者、とは言っても皆プロの料理人だ。
彼らがクズだったと言うキエル……
キエルが唯一認めるオルレアンの腕は、どれ程のものだろうか!
いや、その前に、キエル
君は、プロの料理人をクズだと豪語するが、ずっと母の料理を食べてきたんじゃないのか?
もしかして、母の料理は世界一なのか!?



再び背景は変わり、市場にいるオルレアン。

キエルの挑発に乗せられ、怒りで顔が真っ赤になっている主人公。

“魚? にく? ……違う! こんなんじゃない!
こんな平凡な材料で、奴に勝てる訳がない!
一体……何を作ればいいんだ……何を……?”

狂った様に何度も自問自答を繰り返しているオルレアン。
その瞬間、低い声が聞こえてくる!

“特別な料理を求めているのか?”

低い声が聞こえた方向に、オルレアンは熱い視線を投げる。
すると、いきなり画面が 2等分され、主人公と低い声の持ち主の熱い瞳がクローズアップされる。
オルレアンは、主人公の得意技である独り言を言う。

‘ 汚い格好……真昼から酒ビンを持っているけど、鋭い目付き。
そして、小麦粉の醗酵に最適と言われる温かそうな手のひら。
うさんくさいけど、ただ者じゃない! ’

男はにらめっこに疲れたのか、ベタッと座り込んだ。
空っぽになった酒のビンを転がしながら、男は話を続けた。

“ 50年前、プロンテラの宮廷料理人試験に、お前の様に料理への熱意に満ちている若者が
やって来た。
彼は、ライバルの料理を圧倒する素晴らしい料理で、宮廷料理人になったのさ。
なのに料理の道を究めると言い、せっかくなった宮廷料理人の座から降り、
立ち去ってしまった。”

話している男の目は燃えていた。オルレアンは慌てて聞く。

“まさか!! あなたがその 50年前の……”

オルレアンの質問を遮って、男が答えた。

“俺は、その時……そこの警備兵として働いていた。”
“ハァ?”

男は、ガッカリするオルレアンを見て呟いた。

“しかーし!  50年前の料理が、復活するとしたらどうだ?”
“ガーン!!!!”

オルレアンは、‘ ガーン ’と口で言ってしまった。
周りの人々が、オルレアンが口で効果音を言うのを見てクスクス笑い、
オルレアンの顔は真っ赤に染まった。
オルレアンは気を取り直し、男の肩を掴んで、問い詰めた!

“何だ! その料理とは!! 50年前の料理って一体、何なんだ!!”
“それは……”

男の後ろに 50年前の光景が現れ始めた。
オルレアンは、男の肩を強く揺らしながら叫んだ。

“真昼から酒を飲むから、幻覚が見えるんだろ?
忙しいから、回想シーンはやめて、早く言えよ! 早く!!”
“あぁ? ……回想シーンが始まるとこだったのに……。
まぁ、教えてやろう。その料理とは……”
“そ、その料理とは!?”
“それは……バフォメットの頭の煮込みスープだ。”

先程から、二人の周りを通っていた人々が、急に足を止め、驚きの言葉を二人に投げた。

バフォメットの!!!!”
“頭の!!!!”
“煮込みスープ!!!!”

そして、何もなかったかのように、人々は二人から目を逸らし、何処かへ足を運んだ。

“その料理の材料は! 材料はどこにあるんですか?”
“迷いの森にいるバフォメットを倒し、1万分の1の確率で得られると言う
マジェスティックゴートを手に入れて、それを 20代女性の頭に 5時間被らせた後、
21時間、97.9℃のお湯で煮込み、塩とコショウで味を付け、ネギを入れると完成だ!”

オルレアンは男の言葉を聞き、絶望の悲鳴を上げた。

“チクショー! バフォメットマジェスティックゴートまでは何とかなるけど……、
20代の女性って!!!!”

“その通りだな!!”

口を閉じると同時に、背景は迷いの森の入口で、オルレアンは完全武装をしていた。

“……最近の展開は早すぎなんだよなー。
もうちょっとゆとりを持ったほうがいいのに……”

迷いの森に入ると、オルレアンの前にドラゴンテイルポイズンスポアが現れた。

“雑魚は失せろ! バフォメットは何処だ!!”

オルレアンが剣を振り回すと、大地が真っ二つに割れ、空から雷が落ちて来た。
その桁外れの威力に驚いたモンスター達は、絶望の嘆きを吐き出した。

“な…何という力だ……!!”
“ま、まさか!!!!”
“迷いの森の平和は終わったのか!”

あっという間に、迷いの森を滅ぼしたオルレアン。
彼の指に光っている指輪からは、何だか不気味な気配が感じられる。

“この「メタメタに強い、透明ドラゴンの指輪」をなめるんじゃないぞ!”

- 豆知識 1
「メタメタに強い、透明ドラゴンの指輪」(名詞)
世界の 3大宝物の一つであり、「絶対指輪」、「ニーベルングの指輪」と共に、
時空を超える力を持っているという超すごい指輪。
ラグナロクの世界では、この透明ドラゴンの指輪は 3等分され、
ホルグ…、アンソ…、アラ…という匿名の 3人が分け合う事になった。
この指輪の欠片を 3つ手に入れ、完全な一つの指輪にした者は、
世の中に怖いものが一つも無くなると言われている。

迷いの森をあっちこっち回り、全てを破壊したオルレアン。
最後の地域に移動するワープリンクの前に立っていた。

“ここに、バフォメットがいるのか?”

ワープリンクを足で踏むと、オルレアンの前に真っ暗な異界の扉が開き、
彼はその中に吸い込まれるように入って行った。
そして、彼が目の当たりにしたのは、血塗れになって横たわっているバフォメット
その上に立ち、戦利品であるマジェスティックゴートを手にして笑っている
一人の女性の姿だった。

“ま、まさか、一人で??
それに、1万分の1の確率だと言う、マジェスティックゴートまで??”

そんな事を考えながら、オルレアンは立ち尽くしていた。
すると、彼女がオルレアンに話しかけてきた。

“冒険者?”

“……”

妙な力を感じさせる声だった! オルレアンは首を上下に動かして返事をした。
彼女は、しばらくオルレアンを見つめた後、口を開いた。

“ちょ……蝶の羽を……ください…… 5時間も迷って……”


- 豆知識 2
蝶の羽がない場合、自力で迷いの森を脱出するか、一度戦闘不能になって戻るか……
選択しなければならない。

オルレアンは少し考え込んだ。
そして、オルレアンはこの世で一番不気味な微笑を浮かばせて言った。

“マジェスティックゴートを譲ってくれたら、蝶の羽を 10枚あげる。”


- 続く。
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